SSブログ

あり得ないものにリアリティを与える小説(2) オルファクトグラム [本・ムック]

スポンサードリンク





岡嶋二人解散後の井上夢人氏が書いたSFミステリーの傑作。
なので、ディテールの積み重ねによりリアリティを出す手法なんかは、「クラインの壺」に似ている面もある。
ただ、「クラインの壺」比べると、本格ミステリー要素よりは、活劇要素の方が強いかもしれない。

女性ばかりを狙う猟期連続殺人鬼に姉を殺された青年。
その青年には、隠れた特殊能力「警察犬を超える嗅覚」が備わっていた。
彼には、「匂い」が様々な色の光る結晶として見えるのだ。

このあり得ない設定を、文章だけで読者に納得させてしまうディテール描写の素晴らしさは、「クラインの壺」の頃に比べても、さらに磨きがかかり、井上夢人の面目躍如だ。

その特殊能力を有効に使い、犯人を探し、追いつめる青年。
そして、終わりに向かう中、その設定が生きる形で、血沸き肉踊る活劇場面も用意されており、最後は安らかに着地し、爽やかな読後感。

設定は思いっきり変化球なのに、エンタテイメントの王道にある小説だと思う。

結構分厚い本だが、一気に読める傑作だと思う。




スポンサードリンク



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。