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君はマイウェイの歌の意味を知っているか? [音楽]

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TBSラジオ、1月13日の「ザ・トップ5」という番組で、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗氏が、先日亡くなったデヴィッド・ボウイの追悼特集をやっていて、"Life on Mars"という曲が流れた。


この曲、実は、フランク・シナトラの"My Way"にインスパイヤされて作った曲なのだそうだ。
私も、"Life on Mars"という曲は知っていて、聴いていて懐かしかったが、その逸話は全然知らなかったな。
また、追悼に、この曲をかける芳朗氏のセンスにも唸ってしまった。

デヴィッド・ボウイと"My Way"というと、水と油、かけ離れた存在に思える人も多いだろうが、彼が亡くなった今、その話を聞くと、心がザワつかざるを得ない。
フランスの原曲ではなく、しかも、「フランク・シナトラの」と限定しているところがポイントだ。

さて、若い人でも、「マイウェイ」という曲を一度も聴いたことがないという人は、まずいないのではないだろうか。

ただ、聴いたといっても、ほとんどの人は日本語歌詞で、しかも、その大半は、カラオケでおじさんが歌っているのを聞いたというのが、多いかもしれない。

そうした人にとって、「マイウェイ」という曲のイメージは、「中年のおっさんが、今まで生きてきた人生を自己肯定して、高らかに歌い上げる」というものだろう。


マイ・ウェイ - 布施明

「マイウェイ」の日本語詞は、一つではないのだが、今カラオケでよく歌われる「マイウェイ」の日本語詞は、どうやらこちらの布施明が歌ったバージョンが広まったものらしい。
実際のところ、この日本語詞は、訳詞とは言うが、元の英語詞からは、かなり印象の異なるものとなっており、ある意味、布施明の当時の年齢と歌唱力を生かすために、意味付けを変えた訳詞がされたと言えるだろう。

何がどう違うのか、ちょっと紐解いてみたい。

名曲「My Way」にまつわる衝撃の事実 - NAVER まとめ

まず、「マイウェイ」の原曲は、フランスのポップ・シンガー、クロード・フランソワが1967年にリリースしたフレンチ・ポップスである。その歌詞はフランス語なので私は読めないが、「尻に敷かれた寂しい夫の歌」で、夫婦の日常の倦怠を歌ったものであり、実にフランスらしい皮肉の利いた歌詞の歌らしい。

それを、米国のミュージシャン・ポールアンカらが、フランク・シナトラのために、独自の英語詞を付け提供し、これが大ヒットしたことで世界中に知られることになった。
この英語詞は、原曲の訳詞ではなく、全く新しい創作となっており、これが一応日本語詞のベースとなっている。


歌詞 和訳 Frank Sinatra - My Way (フランク・シナトラ - マイ・ウェイ) | 歌詞 日本語 和訳 * Tomorrow Made New *

この英語詞を、日本語訳詞の悪影響で、非常に勇壮な歌詞と思っている人も多いが、実際にフランク・シナトラの歌い方を聞くと、決してそんなに脂ぎった歌い方ではないことが分かる。

なぜなら、そもそもこの英語詞は、「中年のおっさんが、今まで生きてきた人生を自己肯定して、高らかに歌い上げる歌」などではなく、「年老いた老人が、病床の死の間際に自分の人生を振り返る歌」だからである。

歌詞は、"And now, the end is near. And so I face the final curtain."で始まる。
しょっぱなから「そして、今、死は近い。私は、人生の終幕に直面している」である。なんでこれが、日本詞では正反対の「今、船出が、近づくこの時に」に変わるのか、理解に苦しむところではある。

また、"And now"という歌詞は、この前に、歌詞の主人公が、既に誰かと話していて、それを受けて歌詞が始まることを示している。
おそらくその相手は、奥さんか家族だろう。この前には、家族への最後の感謝の言葉があったのかもしれない。

そして、最期に自分の人生を振り返って語り始めるのが、この「マイウェイ」の歌詞だ。
その中には、人生への自己肯定への気持ち、後悔や反省、辛かった日々も語りながら、それも、すべて淡々と「自分のやりかたをなし遂げただけ(I did it my way)」とシナトラは語り続ける。

最後の方に来て、歌詞の主語が突然、Iからheに変わるのにも注目。ここは、"he"とはイエスキリストと考えるといいかと思う。
自分が"kneels(ひざまずく)"対象は神であり、神の目から見て、"The record shows I took the blows(自分が嵐のような人生を選択したのは明らか)"であるとし、それが私の人生だったと締めくくっているのだと、私はこの歌詞を解釈する。

そして、それまでの静かな"I did it my way."とは違い、最後だけ、"And did it my way!"と高らかに歌い上げるのだが、それも、決して人生を高らかに歌い上げたのではなく、死の断末魔なのだ。
そのことは、直後に静かなストリングスが流れ、「そう、それは私の人生だった(Yes, it was my way.)」と囁くような過去形の歌詞で終わることからも分かる。

その後、トム・ジョーンズやシャーリー・バッシーを始め、多数のミュージシャンがカバーした"My Way"だが、皆、最期の"Yes, it was my way."の部分はなく、"And did it my way!"と高らかに歌い、それで終わるバージョンが定着してしまった。
完璧に歌い上げるためには音域も声量も必要なこの曲は、歌詞の深い意味は置き去りにされ、悪く言えば、歌唱力に自信があるヴォーカリストが、ステージでその力量をひけらかすための歌に変貌してしまったのだ。

その影響もあって、布施明が日本語詞で歌った「マイウェイ」にも、最期の"Yes, it was my way."に相当する部分はない。
その直前の"I did it my way."の訳と思われる「すべては心の決めたままに」というフレーズを高らかに歌い上げてそこで終わる。
それにより、日本語版では、本来の"My Way"の歌詞の意味が、「中年が、ふりかえった人生を肯定し、高らかに歌い上げる賛歌」に大きく変貌してしまったのだ。

改めて、フランク・シナトラ版の曲調と歌い方と合わせて英語詞を吟味して頂ければ、それが日本語版とは全く違う歌詞であることは、分かっていただけるかと思う。

そして、デヴィッド・ボウイが、最期の病床で、家族に見守られながら何を思ったのか。
それを想像しながら、今、フランク・シナトラの"My Way"を聴くと、改めてこの曲と歌詞の意味の深さを感じ、心がザワつかざるを得ないのだ。

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