第155回直木賞、芥川賞が発表された [文学・小説]
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<直木賞>荻原浩さんの「海の見える理髪店」が受賞 芥川賞は村田沙耶香さんの「コンビニ人間」 (まんたんウェブ) - Yahoo!ニュース
第155回芥川賞、直木賞が、7月19日に発表された。
芥川賞は、村田沙耶香「コンビニ人間」(文學界6月号)、直木賞は荻原浩の「海の見える理髪店」(集英社)が受賞したとのことだ。
村田沙耶香は、既に記者会見の模様が話題を呼んでいるが、現在もコンビニでバイトを続けている女性作家。
2003年「授乳」で第46回群像新人文学賞優秀作を受賞してデビュー。
08年に出版した「ギンイロノウタ」で第31回野間文芸新人賞、12年刊の「しろいろの街の、その骨の体温の」で第26回三島由紀夫賞を受賞し、芥川賞は初ノミネートで受賞という、純文学界では超エリートコースと言える。
ところが、実際の村田沙耶香は、そうしたエリート感皆無のほわっとした雰囲気で、清楚だが、どこか薄幸そう。
バックナンバー|文筆系トークバラエティ ご本、出しときますね?|BSジャパン
「よく抱きつかれる作家」村田沙耶香 オードリー若林に迫られ「変態」にまつわる本をオススメ (Book Bang) - Yahoo!ニュース
彼女のことを初めて知ったのは、オードリー若林正恭がホストを務めていた文筆系トークバラエティ「ご本、出しときますね?」で、西加奈子らが、トンデモない人であると力説しているのを聞いたのが最初。
それで興味を持ち、後日、その番組にも登場し、さらには、「ボクらの時代」に、若林と本谷有希子とで出演したのを見て、彼女の言動に大笑いしながら、どこか背筋が凍るものがあった。
彼女は、朴訥とした話し方をするのだが、しかし、その内容はというと、「殺人のシーンを書くのは喜び」や「よく抱きつかれることがある」「電車の中で露出狂によく遭う」などと怖いことをさらっと話す、というなかなかのクセモノだ。
私自身は、この方の作品をまだ読んだことがないのだが、トークを聞いただけでも、こんな人が書く小説が面白くないはずがないとは思っている。
これを機に、是非作品も読んでみたいし、また「ゴロウデラックス」なんかにも出て、独自の村田ワールドを発揮して欲しいな。
荻原浩は、ベストセラーも多いベテラン作家で、私もファンで、特にデビュー作から10年間ぐらいは全作読んでいた。
最近は、本を読むペース自体が落ち、全作品をフォローできなくなってしまったが、今もファンであることは変わりない。
1997年「オロロ畑でつかまえて」で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビューし、第18回山本周五郎賞を受賞した「明日の記憶」は、渡辺謙自身の希望により映画化されヒットもした。「二千七百の夏と冬」では、第5回山田風太郎賞受賞。
直木賞には、「あの日にドライブ」「四度目の氷河期」「愛しの座敷わらし」「砂の王国」で過去過去4度の直木賞候補になり、今回の「海の見える理髪店」は5度目での受賞となった。
荻原浩作品を最初に読んだのは、人に勧められた「なかよし小鳩組」で、確かに気持ちが温かくなる佳品だった。
その後、作品が出るたびに読むようになったが、作風に、作者の人の好さが出る感じで、嫌みがない。
気持ちよく読み進められるのは、きっと、村田沙耶香とは対極なのだろう(まだ読んでないけど)。
そして、私の最大の印象は、なにより「外れが少ない作家」だ。
どの作品を読んでも、一定の面白さが担保されているので、新幹線に乗るとき読む本がなく、何か本を買おうと思うとき、つい選んでしまいがちな作家が荻原浩なのである。
そんな中でも、「明日の記憶」は、若年性アルツハイマー病を患った男とその奥さんの物語で、美しくて泣けるラストシーンが印象に残る小説だった。
「なんでこの作品が直木賞候補に挙がらないのだろう?」と思ったぐらいで、私にとっては、未だに荻原浩のベストワンだ。
出版社側としても、荻原浩は、既刊本も多く、作品水準も平均的に高いので、直木賞受賞は、東野圭吾まではいかないにしても、本がたくさん売れて非常に有難いだろうな。
既にファンも多いベストセラー作家であり、直木賞も今さらという感じもあるが、ファンとして、素直におめでとうございますと言いたい。
ちなみに、今回の候補作については、「ゴールデンラジオ」でちらっと話題が出たのを聞いたぐらいで、全くチェックしていなかったので確認しておきたい。
芥川賞候補には、5度目のノミネートとなった山崎ナオコーラ「美しい距離」、3度目のノミネートの高橋弘希「短冊流し」、初ノミネートだった今村夏子「あひる」、崔実「ジニのパズル」、村田沙耶香「コンビニ人間」の5作が挙がっていたが、受賞最有力と言われていた山崎ナオコーラさんは残念でした。でも、「村田沙耶香なら仕方ないか」と言っている気もするな。
直木賞候補には、2度目のノミネートの湊かなえ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」、5度目のノミネートの伊東潤「天下人の茶」、荻原浩「海の見える理髪店」、門井慶喜「家康、江戸を建てる」、原田マハ「暗幕のゲルニカ」、米澤穂信「真実の10メートル手前」の6作が挙がったが、湊かなえは、いい作品が目白押しなので、次には取るでしょう。
米澤穂信は初の候補で、SF、ミステリーを得意分野とし、嫌いな作家ではないのだが、まだまだ直木賞を取るのは早い感じもする。今回は、ありがちな選考会への顔見せなのかも。
ラジカントロプス2.0 | AM1422kHz ラジオ日本
『文学賞メッタ斬り!スペシャル(予想編)』(2016年7月14日OA)
『文学賞メッタ斬り!スペシャル(結果編)』(2016年7月21日OA)
なお、第155回芥川賞、直木賞についても、大森望・豊崎由美による、恒例「文学賞メッタ斬り!スペシャル」がラジオ日本で放送されましたが、放送されなかったトークも大幅に追加されて、ポッドキャストでも配信されているので、ご一聴を。
ゴロウ・デラックス|TBSテレビ
また、「ゴロウデラックス」にも、恒例で、近日中に芥川賞、直木賞受賞者が揃って出演するのは間違いないので、お見逃しなく。
関連記事:
本谷有希子さんが第154回芥川賞を受賞!:コンテンツって言い方、嫌いだけど:So-netブログ
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第155回芥川賞、直木賞が、7月19日に発表された。
芥川賞は、村田沙耶香「コンビニ人間」(文學界6月号)、直木賞は荻原浩の「海の見える理髪店」(集英社)が受賞したとのことだ。
村田沙耶香は、既に記者会見の模様が話題を呼んでいるが、現在もコンビニでバイトを続けている女性作家。
2003年「授乳」で第46回群像新人文学賞優秀作を受賞してデビュー。
08年に出版した「ギンイロノウタ」で第31回野間文芸新人賞、12年刊の「しろいろの街の、その骨の体温の」で第26回三島由紀夫賞を受賞し、芥川賞は初ノミネートで受賞という、純文学界では超エリートコースと言える。
ところが、実際の村田沙耶香は、そうしたエリート感皆無のほわっとした雰囲気で、清楚だが、どこか薄幸そう。
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「よく抱きつかれる作家」村田沙耶香 オードリー若林に迫られ「変態」にまつわる本をオススメ (Book Bang) - Yahoo!ニュース
彼女のことを初めて知ったのは、オードリー若林正恭がホストを務めていた文筆系トークバラエティ「ご本、出しときますね?」で、西加奈子らが、トンデモない人であると力説しているのを聞いたのが最初。
それで興味を持ち、後日、その番組にも登場し、さらには、「ボクらの時代」に、若林と本谷有希子とで出演したのを見て、彼女の言動に大笑いしながら、どこか背筋が凍るものがあった。
彼女は、朴訥とした話し方をするのだが、しかし、その内容はというと、「殺人のシーンを書くのは喜び」や「よく抱きつかれることがある」「電車の中で露出狂によく遭う」などと怖いことをさらっと話す、というなかなかのクセモノだ。
私自身は、この方の作品をまだ読んだことがないのだが、トークを聞いただけでも、こんな人が書く小説が面白くないはずがないとは思っている。
これを機に、是非作品も読んでみたいし、また「ゴロウデラックス」なんかにも出て、独自の村田ワールドを発揮して欲しいな。
荻原浩は、ベストセラーも多いベテラン作家で、私もファンで、特にデビュー作から10年間ぐらいは全作読んでいた。
最近は、本を読むペース自体が落ち、全作品をフォローできなくなってしまったが、今もファンであることは変わりない。
1997年「オロロ畑でつかまえて」で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビューし、第18回山本周五郎賞を受賞した「明日の記憶」は、渡辺謙自身の希望により映画化されヒットもした。「二千七百の夏と冬」では、第5回山田風太郎賞受賞。
直木賞には、「あの日にドライブ」「四度目の氷河期」「愛しの座敷わらし」「砂の王国」で過去過去4度の直木賞候補になり、今回の「海の見える理髪店」は5度目での受賞となった。
荻原浩作品を最初に読んだのは、人に勧められた「なかよし小鳩組」で、確かに気持ちが温かくなる佳品だった。
その後、作品が出るたびに読むようになったが、作風に、作者の人の好さが出る感じで、嫌みがない。
気持ちよく読み進められるのは、きっと、村田沙耶香とは対極なのだろう(まだ読んでないけど)。
そして、私の最大の印象は、なにより「外れが少ない作家」だ。
どの作品を読んでも、一定の面白さが担保されているので、新幹線に乗るとき読む本がなく、何か本を買おうと思うとき、つい選んでしまいがちな作家が荻原浩なのである。
そんな中でも、「明日の記憶」は、若年性アルツハイマー病を患った男とその奥さんの物語で、美しくて泣けるラストシーンが印象に残る小説だった。
「なんでこの作品が直木賞候補に挙がらないのだろう?」と思ったぐらいで、私にとっては、未だに荻原浩のベストワンだ。
出版社側としても、荻原浩は、既刊本も多く、作品水準も平均的に高いので、直木賞受賞は、東野圭吾まではいかないにしても、本がたくさん売れて非常に有難いだろうな。
既にファンも多いベストセラー作家であり、直木賞も今さらという感じもあるが、ファンとして、素直におめでとうございますと言いたい。
ちなみに、今回の候補作については、「ゴールデンラジオ」でちらっと話題が出たのを聞いたぐらいで、全くチェックしていなかったので確認しておきたい。
芥川賞候補には、5度目のノミネートとなった山崎ナオコーラ「美しい距離」、3度目のノミネートの高橋弘希「短冊流し」、初ノミネートだった今村夏子「あひる」、崔実「ジニのパズル」、村田沙耶香「コンビニ人間」の5作が挙がっていたが、受賞最有力と言われていた山崎ナオコーラさんは残念でした。でも、「村田沙耶香なら仕方ないか」と言っている気もするな。
直木賞候補には、2度目のノミネートの湊かなえ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」、5度目のノミネートの伊東潤「天下人の茶」、荻原浩「海の見える理髪店」、門井慶喜「家康、江戸を建てる」、原田マハ「暗幕のゲルニカ」、米澤穂信「真実の10メートル手前」の6作が挙がったが、湊かなえは、いい作品が目白押しなので、次には取るでしょう。
米澤穂信は初の候補で、SF、ミステリーを得意分野とし、嫌いな作家ではないのだが、まだまだ直木賞を取るのは早い感じもする。今回は、ありがちな選考会への顔見せなのかも。
ラジカントロプス2.0 | AM1422kHz ラジオ日本
『文学賞メッタ斬り!スペシャル(予想編)』(2016年7月14日OA)
『文学賞メッタ斬り!スペシャル(結果編)』(2016年7月21日OA)
なお、第155回芥川賞、直木賞についても、大森望・豊崎由美による、恒例「文学賞メッタ斬り!スペシャル」がラジオ日本で放送されましたが、放送されなかったトークも大幅に追加されて、ポッドキャストでも配信されているので、ご一聴を。
ゴロウ・デラックス|TBSテレビ
また、「ゴロウデラックス」にも、恒例で、近日中に芥川賞、直木賞受賞者が揃って出演するのは間違いないので、お見逃しなく。
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