第157回芥川賞は沼田真佑氏、直木賞は佐藤正午氏 [文学・小説]
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第157回「芥川賞・直木賞」候補作決まる 柚木麻子氏・宮内悠介氏ら直木賞ノミネート | ORICON NEWS
今回は、ノミネート候補が発表された時点で、あまり興味が湧かなかった。
■第157回芥川龍之介賞候補作(掲載誌)
・今村夏子「星の子」(小説トリッパー春号)
・温又柔「真ん中の子どもたち」(すばる四月号)
・沼田真佑「影裏」(文學界5月号)
・古川真人「四時過ぎの船」(新潮六月号)
芥川賞に関しては、最近珍しく候補が4作と少なかった。最近、純文学誌など読まないので、どなたも知らないから、興味を持ちようがない。
■第157回直木三十五賞候補作(出版社)
・木下昌輝「敵の名は、宮本武蔵」(KADOKAWA)
・佐藤巖太郎「会津執権の栄誉」(文藝春秋)
・佐藤正午「月の満ち欠け」(岩波書店)
・宮内悠介「あとは野となれ大和撫子」(KADOKAWA)
・柚木麻子「BUTTER」(新潮社)
直木賞は、「盤上の夜」の宮内悠介氏や、ベテラン佐藤正午氏は知っているが、どちらもそれほど熱心な読者とは言えないし、宮内氏はSF畑だから、まず受賞は無理だろう。
佐藤正午氏が唯一の驚きで、超ベテランでありながら、これが初の候補だというが、そのぐらい。
受賞発表のニュースも、今回は、受賞者コメントが比較的地味だったこともあり、あまりニュースでも取り上げられず、発表当日は気付かなかったぐらい。
芥川賞に沼田真佑さん 直木賞に佐藤正午さん | NHKニュース
芥川龍之介賞は、沼田真佑氏の「影裏」が受賞。
2度目のノミネートだった今村夏子氏の「星の子」が有力候補と言われていたらしいが、処女作で、まだこれ一作しか書いていない沼田氏が、ほとんど喧嘩状態の対立した議論の末、受賞したとのこと。
「一作のみ」というのが実力を測る上で障害になったようだが、それだったら又吉直樹だって、そうだったはずだけどね。
沼田真佑氏は、北海道小樽市出身で盛岡市在住の38歳だそうだ。
大学を卒業後は、福岡市で塾講師を務め、現在は盛岡市で塾講師などのアルバイトをしながら小説を執筆しているという。
受賞作の「影裏」は、処女作品で第122回文學界新人賞を受賞し、芥川賞も当然初の候補での受賞となった。
「影裏」は、盛岡市の会社に異動してきた男性が主人公で、そこで遭遇した東日本大震災をめぐる様々な人間関係や、主人公の内面を描いた作品だそうだ。
受賞後のあいさつでは、朴訥とした受け答えの中、デビュー作での受賞となったことについて「ジーパン1本しか持っていないのにベストジーニスト賞を取ったようなもの」と話し、会場の笑いを誘ったのが目立った。
ただ、まだ作品が一作しかなく、本も出ていないということで、書店にとっては、あまりウマ味がない受賞ではあるな。
書店では、「影裏」が掲載された「文學界」2017年5月号を至急確保して、置くしか手はないはず。
一方、直木賞は、佐藤正午氏の「月の満ち欠け」が受賞。
佐藤正午氏は、長崎県出身の61歳。1983年に「永遠の1/2」で第7回すばる文学賞を受賞してデビューし、地道に小説を書きつづけてきた超ベテランであり、3年前に出版した「鳩の撃退法」で山田風太郎賞も受賞しているが、直木賞の候補になったのは今回が初めてという。
現在も、佐世保市在住で、親の介護をしながら小説を書いているそうで、受賞後のあいさつも淡々としたもの。
佐藤正午のおすすめ作品4選!クセになる小説とエッセイ | ホンシェルジュ
こちらは、ベテランだけに過去の作品数も多く、書店にとっては特集コーナーが組みやすいため、書店では佐藤正午氏を中心にコーナーが組まれることだろう。ただ、一点だけ問題がある。
芥川賞、直木賞受賞作が決定! 岩波書店の初受賞で、書店員が頭を悩ませている理由 - KAI-YOU.net
今回受賞の「月の満ち欠け」は、岩波書店の刊行する小説作品で初の直木賞受賞らしい(芥川賞も受賞作がないらしい)。
ところが、岩波書店は、他の出版社と違い、返本を受け付けない買い切り制度を採用している出版社なので、書店としては本来あまり取り扱いたくないはず。
売れ残りは負債になるから、在庫過多になっては困るし、特集コーナーに肝心の受賞作だけ、常に在庫がないという事態も困る。
どのぐらいの冊数注文するかは、久々に書店員の実力が試されることになりそうだ。
また、あの岩波書店が、リスク覚悟で大量に本を刷るとは考えにくく、当面、受賞作「月の満ち欠け」の部数確保は、各書店で苦労することになるだろう。
結果として、今回の芥川賞、直木賞受賞作の棚作りは、書店にとって大きな悩みの種で、皆、頭を抱えていそうだな。
ところで、今回恒例だが、ラジオ日本の「ラジカントロプス2.0」枠で、第157回芥川賞、直木賞に関して、「文学賞メッタ斬り!スペシャル」の特番が放送された。
放送に収まらなかった部分も含めた拡大版がポッドキャストで配信されているので、是非とも聴いて欲しい。
ラジカントロプス2.0 | AM1422kHz ラジオ日本
司会進行は、おなじみ「歌う放送作家」植竹公和で、SF翻訳家、書評家の大森望氏、書評家の豊崎由美氏が、事前に、芥川賞、直木賞受賞者の予想を行う予想編と、結果を受けて受賞作や審議過程を議論する結果編からなる。
「文学賞メッタ斬り!スペシャル(予想編)」(2017年7月16日OA)
「文学賞メッタ斬り!スペシャル(結果編)」(2017年7月23日OA)
私も聴いてみたが、豊崎氏も、私同様、今回の候補作にはあまり興味がなかったみたいだな。
いつものような熱量は感じられなかった。
ゴロウ・デラックス|TBSテレビ
恒例の「ゴロウデラックス」への受賞者出演はいつだろうか。
前回、第156回は、何故か芥川賞の山下澄人さんしか出演されず残念だったが、今回は、お二人揃っての出演が叶うといいな。
【追記】
文藝春秋、芥川賞受賞作「影裏(えいり)」の電子書籍版を本日7月28日から発売 ? hon.jp DayWatch
第157回芥川賞受賞作「影裏」(沼田真佑著)が、7月28日、緊急発売されたようだ。
受賞作のみを収録し、ページ数は96ページ。価格は税別1,000円。電子書籍版は900円とのことだ。
関連記事:
第156回芥川賞・直木賞発表!:コンテンツって言い方、嫌いだけど:So-netブログ
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第157回「芥川賞・直木賞」候補作決まる 柚木麻子氏・宮内悠介氏ら直木賞ノミネート | ORICON NEWS
今回は、ノミネート候補が発表された時点で、あまり興味が湧かなかった。
■第157回芥川龍之介賞候補作(掲載誌)
・今村夏子「星の子」(小説トリッパー春号)
・温又柔「真ん中の子どもたち」(すばる四月号)
・沼田真佑「影裏」(文學界5月号)
・古川真人「四時過ぎの船」(新潮六月号)
芥川賞に関しては、最近珍しく候補が4作と少なかった。最近、純文学誌など読まないので、どなたも知らないから、興味を持ちようがない。
■第157回直木三十五賞候補作(出版社)
・木下昌輝「敵の名は、宮本武蔵」(KADOKAWA)
・佐藤巖太郎「会津執権の栄誉」(文藝春秋)
・佐藤正午「月の満ち欠け」(岩波書店)
・宮内悠介「あとは野となれ大和撫子」(KADOKAWA)
・柚木麻子「BUTTER」(新潮社)
直木賞は、「盤上の夜」の宮内悠介氏や、ベテラン佐藤正午氏は知っているが、どちらもそれほど熱心な読者とは言えないし、宮内氏はSF畑だから、まず受賞は無理だろう。
佐藤正午氏が唯一の驚きで、超ベテランでありながら、これが初の候補だというが、そのぐらい。
受賞発表のニュースも、今回は、受賞者コメントが比較的地味だったこともあり、あまりニュースでも取り上げられず、発表当日は気付かなかったぐらい。
芥川賞に沼田真佑さん 直木賞に佐藤正午さん | NHKニュース
芥川龍之介賞は、沼田真佑氏の「影裏」が受賞。
2度目のノミネートだった今村夏子氏の「星の子」が有力候補と言われていたらしいが、処女作で、まだこれ一作しか書いていない沼田氏が、ほとんど喧嘩状態の対立した議論の末、受賞したとのこと。
「一作のみ」というのが実力を測る上で障害になったようだが、それだったら又吉直樹だって、そうだったはずだけどね。
沼田真佑氏は、北海道小樽市出身で盛岡市在住の38歳だそうだ。
大学を卒業後は、福岡市で塾講師を務め、現在は盛岡市で塾講師などのアルバイトをしながら小説を執筆しているという。
受賞作の「影裏」は、処女作品で第122回文學界新人賞を受賞し、芥川賞も当然初の候補での受賞となった。
「影裏」は、盛岡市の会社に異動してきた男性が主人公で、そこで遭遇した東日本大震災をめぐる様々な人間関係や、主人公の内面を描いた作品だそうだ。
受賞後のあいさつでは、朴訥とした受け答えの中、デビュー作での受賞となったことについて「ジーパン1本しか持っていないのにベストジーニスト賞を取ったようなもの」と話し、会場の笑いを誘ったのが目立った。
ただ、まだ作品が一作しかなく、本も出ていないということで、書店にとっては、あまりウマ味がない受賞ではあるな。
書店では、「影裏」が掲載された「文學界」2017年5月号を至急確保して、置くしか手はないはず。
一方、直木賞は、佐藤正午氏の「月の満ち欠け」が受賞。
佐藤正午氏は、長崎県出身の61歳。1983年に「永遠の1/2」で第7回すばる文学賞を受賞してデビューし、地道に小説を書きつづけてきた超ベテランであり、3年前に出版した「鳩の撃退法」で山田風太郎賞も受賞しているが、直木賞の候補になったのは今回が初めてという。
現在も、佐世保市在住で、親の介護をしながら小説を書いているそうで、受賞後のあいさつも淡々としたもの。
佐藤正午のおすすめ作品4選!クセになる小説とエッセイ | ホンシェルジュ
こちらは、ベテランだけに過去の作品数も多く、書店にとっては特集コーナーが組みやすいため、書店では佐藤正午氏を中心にコーナーが組まれることだろう。ただ、一点だけ問題がある。
芥川賞、直木賞受賞作が決定! 岩波書店の初受賞で、書店員が頭を悩ませている理由 - KAI-YOU.net
今回受賞の「月の満ち欠け」は、岩波書店の刊行する小説作品で初の直木賞受賞らしい(芥川賞も受賞作がないらしい)。
ところが、岩波書店は、他の出版社と違い、返本を受け付けない買い切り制度を採用している出版社なので、書店としては本来あまり取り扱いたくないはず。
売れ残りは負債になるから、在庫過多になっては困るし、特集コーナーに肝心の受賞作だけ、常に在庫がないという事態も困る。
どのぐらいの冊数注文するかは、久々に書店員の実力が試されることになりそうだ。
また、あの岩波書店が、リスク覚悟で大量に本を刷るとは考えにくく、当面、受賞作「月の満ち欠け」の部数確保は、各書店で苦労することになるだろう。
結果として、今回の芥川賞、直木賞受賞作の棚作りは、書店にとって大きな悩みの種で、皆、頭を抱えていそうだな。
ところで、今回恒例だが、ラジオ日本の「ラジカントロプス2.0」枠で、第157回芥川賞、直木賞に関して、「文学賞メッタ斬り!スペシャル」の特番が放送された。
放送に収まらなかった部分も含めた拡大版がポッドキャストで配信されているので、是非とも聴いて欲しい。
ラジカントロプス2.0 | AM1422kHz ラジオ日本
司会進行は、おなじみ「歌う放送作家」植竹公和で、SF翻訳家、書評家の大森望氏、書評家の豊崎由美氏が、事前に、芥川賞、直木賞受賞者の予想を行う予想編と、結果を受けて受賞作や審議過程を議論する結果編からなる。
「文学賞メッタ斬り!スペシャル(予想編)」(2017年7月16日OA)
「文学賞メッタ斬り!スペシャル(結果編)」(2017年7月23日OA)
私も聴いてみたが、豊崎氏も、私同様、今回の候補作にはあまり興味がなかったみたいだな。
いつものような熱量は感じられなかった。
ゴロウ・デラックス|TBSテレビ
恒例の「ゴロウデラックス」への受賞者出演はいつだろうか。
前回、第156回は、何故か芥川賞の山下澄人さんしか出演されず残念だったが、今回は、お二人揃っての出演が叶うといいな。
【追記】
文藝春秋、芥川賞受賞作「影裏(えいり)」の電子書籍版を本日7月28日から発売 ? hon.jp DayWatch
第157回芥川賞受賞作「影裏」(沼田真佑著)が、7月28日、緊急発売されたようだ。
受賞作のみを収録し、ページ数は96ページ。価格は税別1,000円。電子書籍版は900円とのことだ。
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