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「未来のミライ」を試写会で見た感想 [映画]

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「未来のミライ」公式サイト

細田守監督の新作アニメ映画「未来のミライ」が、7月20日(金)に公開されるが、それに先駆けて、7月12日(木)に、当選した試写会で見てきた。
以下、かなり注意はしたが、若干ネタバレの部分があるので、気になる方は、映画を見てから読んでください。

試写会会場はシネプレックス平塚だったが、ほぼ満席状態。
上映ギリギリに行ったので、席が最前列だったが、それほど大きなスクリーンではなかったので、思ったより見づらくはなかった。

まず、見終わった後の感想としては、「監督の意図はある程度伝わったけど、これって面白いのかなぁ?」ということ。

未来のミライ - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks

未来のミライのレビュー・感想・評価 - 映画.com

他の方の感想を読んでも、細田守監督の過去作とは、作風がだいぶ違うので、戸惑いも大きいようだ。

細田守の過去作とは違い、ストーリーがあってないような映画なので、見終えて「これは何を見させられたのだろう?」と思う人も多いと思う。

ただ、肝心の監督の意図を読み取らずに、それを「期待外れで、面白くない」で終わらすのは少し違うと思うので、これから映画を見る方のために、「この映画をどう見るべきか」を、まず書いておきたい。

映画の舞台は、いくつかのランドマークの描写から、横浜をモデルとしていると思われるが、そのものではない空想の街っぽい。

映画は、舞台となる街全体の遠景から、主人公の子供くんちゃんが住む、かなり特殊な形をした自宅の中庭にズームインするカットから始まり、それが、印象的に繰り返し使われる。

さて、この自宅、建築士であるくんちゃんの父親自身が、設計し、建てた家なので、地形を生かしたこだわりが詰まった家となっている。

この家の立地は特殊だ。周りはかなり大面積の邸宅が並ぶ宅地の中で、土地が細長く、しかもかなりの斜面に立地している。
そこで、家は、斜面に沿って階段で移動する特殊な形状をしていて、敷地いっぱいに家が建っている代わりに中庭があり、そこには立派な樫(?)の木がそびえたっている。

登場人物のセリフや設計思想から想像するに、ここはおそらく母親方の家族の何らかの由来の土地で、狭くて家を建てるのはあまりいい土地とは言えないが、愛着のあるこの場所に何とか自宅を建てたかった。
そして、その土地に家を建てるにあたって、夫は設計士として、長年生きながらえてきたこの土地のシンボルツリーを切るのが忍びなく、中庭を作って残したのだと思われる。

そして、家より先にあったこのシンボルツリーが鎮座する中庭から、このお話(くんちゃんの妄想?)はすべて展開する。

くんちゃんの両親、祖父母、そして、祖祖父母の物語、そして未来のお話は、よく見ると、すべて今の自宅周辺から広がる、最初に地図を提示した街で完結していることが分かる(もう一度映画を見る機会があれば、再度綿密に検証したいところ)。

細田守監督のことだから、おそらく、家の設計も実際に家が建てられる設計図を起こしているのだろうし、この街並みも、一軒一軒の家から緻密な地図を作っているはず。
さらにはこの街の、くんちゃんの両親、祖父母、祖祖父母の過去の時代の街並みが、どのようだったかも綿密に設計し、その設計に従って、その時代での物語の風景描写を行っているのだと思われる。

そう、この映画の主役は「街」なのかもしれない、とも言えるぐらい。

この「街」の歴史が主人公だと思って、その街の断面をくんちゃんの家族を通して描いているものとしてこのお話を見ると、この映画が伝えようとしたことが、さらによく伝わる気がするのだ。

さて、だからという訳ではないが、この映画、メインストーリーとして書けるほどの出来事は何も起きない。
妹ができたくんちゃんと、それを育てる両親の日常を描くのみ。

シナリオの上で、盛り上がるような分かりやすいストーリー展開はないので、「これ、子どもが見て面白いかな?」とは思うが、むしろ、子どもを連れてきた親の世代が見ると、リアルで共感できる点が多い映画なのかと思う。

共働き夫婦で、父親が家事に向き合うシチュエーションは、実に今っぽく、細田監督自身の二児の子育て体験が反映されたと思われるリアリティ溢れるエピソードが満載だ。

夫婦で映画を見に行った帰りに、奥さんからエピソードに絡んでイジられる夫がたくさんいそうだな。

ただ、シナリオ的に見ると、前半監督自身が作った「同一人物は同時に一人しか存在しない」ルールを、終盤には破たんさせたり、「未来の赤ちゃんの頃の記憶って、いったいどうなっているんだろう?」と思わせる謎のシーンが登場するのは、どう消化していいのか分からなかった。

演出面で言えば、「だるまさんがころんだ」部分が、後の伏線にもなっていないのに無意味に長い気がするのと、駅のシーンがやりたい放題で面白いが、細田守らしくはないとは思った。
また、後半、現実に戻るシーンチェンジで、突然筋をぶった切る随分荒いカットがあり、そこまではすべて丁寧に描いていただけに残念に思えた。

なにより、終始気になったのは、くんちゃんの声優の声が、どうしても「男の子」には聞こえなかったこと。最初から違和感があり、それが最後まで慣れなかった。
それ以外のキャストは、全く気にならなかっただけに、ここだけがミスキャストの気がしてならない。
神田松之丞は、どこに出るのかと思ったら、思ったより重要な役。ただ、それなのに、どこの宣伝媒体でも言及されないのはお気の毒(笑)
他の映画の例を考えれば、神田松之丞の立場は、舞台挨拶を盛り上げる芸人枠っぽいのだが、果たして、公開日の舞台挨拶には呼ばれるのだろうか?

主題歌は、細田守が大好きな山下達郎による「ミライのテーマ(オープニング)」「うたのきしゃ(エンディング)」。
試写会の映画館の音がよくなくて、低音も高音も出ず、山下達郎の声だけがやたら目立つセッティングだったので、少々暑苦しかった。
あとでYouTubeで聞いたが、音が良ければ、もっと爽やかないい曲なので、是非とも音のいい映画館で見たいところだ。

ということで、結論としては、細田守監督の作り込んだ部分は、私には伝わった気がするが、その作り込みが「映画として面白かったか?」と言われると、うーんという感じ。

この映画、親子で見に行く方が多いと思われるが、正直、小さな子供がずっと楽しんで見てくれるのかが、もはや私の歳の感性ではわからない。
もし、子どもにも評判がいいのであれば、この映画、ある程度ヒットする気もするし、そうでなくて、途中ぐずるようであれば、細田守監督の過去作を超えるヒットとはならない気がする。

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