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SF作家・眉村卓さんの訃報 [文学・小説]

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神戸新聞NEXT|総合|「妻に捧げた1778話」ロングセラーに 作家眉村卓さん死去

日本のSF作家として、星新一(故人)、小松左京(故人)、筒井康隆さんらと共に「日本SF界の第一世代」として活躍した作家・眉村卓さんが、10月3日に亡くなったそうだ。

85歳だったそうで、今さらながら、思ったよりご高齢だったのに驚いている。
もっと若い印象だったのだが、最近亡くなった和田誠さんより年上だったんだな。

眉村卓 - Wikipedia

私自身は、眉村卓の熱心なファンだったとは言えないが、それでも、「ねじれた町」「まぼろしのペンフレンド」「なぞの転校生」「ねらわれた学園」といったジュブナイルSF(今で言うSFモノのラノベに近いか)と呼ばれる子供向けのSF小説は、楽しく読んだ記憶がある。

驚いたのだが、SFというジャンルに特段興味がない私の奥さんでも、訃報のニュースを見ながら、「なぞの転校生」「ねらわれた学園」は読んで面白かったし、テレビドラマも見ていた、というから、当時、売れっ子の人気作家であったことは間違いない。

私個人としては、内容はもう忘れてしまったのだが「ねじれた町」が一番おもしろかった、という記憶だけはある。

再読したいが大半が廃刊状態なので、訃報を契機に再刊されると嬉しいのだが。

その後、泉鏡花文学賞を受賞した代表作「司政官」シリーズの「消滅の光輪」も読んだ記憶がある。
分厚い本だが、眉村さんの文章は平易なので、スラスラ読めてしまう印象はあり、この本も厚みの割に辛くはなかった。

眉村さんは、作家の前はサラリーマン勤めをしており、インサイダー文学論を唱えるなど、企業の中の人というテーマで描く大人向けのSF作品が多かった。本格SFである「消滅の光輪」も、その色が濃く反映されていた記憶がある。

ただ、それだけに、SF小説らしい奔放なアイデアや、馬鹿馬鹿しいが飛躍が凄い発想みたいなものは乏しく、その点が眉村さんの作品を熱心には読まなかった要因だったと思う。

また、眉村さんは、おそらく星新一さんに次いで、数多くのショートショートを書いた作家でもある。それは、晩年に、がんと闘う妻悦子さんを励まそうと悦子さんが67歳で亡くなる2002年まで毎日書き続けたショートショート集「妻に捧げた1778話」に結実し、「僕と妻の1778の物語」として映画化もされた。

私が、大人になってから眉村さんの作品を読んだのは、「妻に捧げた1778話」だけであり、しかも、これが最後だったと思う。

子どもの頃も、眉村さんのショートショートは読んでいたが、正直、星新一に比べたら、大胆なアイデアが乏しく物足りなかった。
しかし、「妻に捧げた1778話」を読んで、「ああ、この人のショートショートの味わいは、人生経験を積まないと分からないわ」と後から思った記憶がある。

ご冥福をお祈りするとともに、多くが廃刊、休刊状態となっている過去の名作が、これを機に、電子書籍だけでもいいから、再刊されることを望みたい。

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