もう一度見たいと言っていた「風立ちぬ」だが、色々あって、まだ見に行けていない。

ただ、その前に、この映画に関係する本を再読したくなったので、図書館で借りて読んでみた。

本日は お日柄もよく 読書日和。 - 柳田邦男 「零戦燃ゆ」

零戦について描いたノンフィクション「零式戦闘機」「零戦燃ゆ」(柳田邦男著)だ。

このシリーズ、大昔に読んだ単行本は、「零式戦闘機」「零戦燃ゆ・飛翔篇」「零戦燃ゆ・熱闘篇」「零戦燃ゆ・渾身篇」の4冊で構成されていたが、どれも分厚い本なので、文庫化された時には、「零戦燃ゆ」が分冊化された。

「零式戦闘機」が、堀越二郎らによる戦闘機の開発に苦闘する物語なのに対し、「零戦燃ゆ」は、その零戦に対し、米国が米国流の戦略を立てて無力化し、形勢を逆転し、終戦に至るまでを描く。

零戦のノンフィクションというと、「零式戦闘機」で描かれるような、開発物語が多いのだが、「零戦燃ゆ」の特徴は、究極のデザインと思い開発した零戦が、弱点を突かれ、最終的には敗北するまでの米国側の動きも併せて描いていること。

零戦の設計の素晴らしさを描くだけの他の著作とは一線を画する、しっかりした批評精神がある著作なのだ。

その日本的な開発思想の限界が、現代の日本においても、米国に、ビジネスや政治で勝てない日本の理由に繋がることを明らかにしている。

さらに、柳田邦男は、この零戦開発ので気付いた日本人に普遍的に潜在する問題をベースに、「この国の失敗の本質」という評論を書いている。

改めて、「零戦燃ゆ」を読み直してみて、「風立ちぬ」は、最終的に、堀越二郎のやった仕事を肯定的に描いている一方で、それに対する海外からみた批評的視点もしっかり入れ込んでいる気がした。

宮崎駿は、おそらく柳田邦男の著作も読んだ上で、敢えて堀越二郎の生き方を、自分の生き方に重ねて、肯定的に描いたのではないかと思う。

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