直木賞作家の渡辺淳一さん死去 代表作に「失楽園」:朝日新聞デジタル

直木賞作家で、大ヒット作「失楽園」などで有名な渡辺淳一氏が、前立腺がんで亡くなったそうだ。
80歳とのこと。

医者で作家というと割と多いが、安倍公房、北杜夫、手塚治虫など、作風も理詰めで構築するタイプが多い中、渡辺淳一氏は、ごく初期を除くとそうした印象はなく、実生活でも実践しながら、ひたすら性愛を追い求めた情感描写がメインの印象が強い。

私の奥さんは、渡辺淳一氏の作品は、男の妄想による理想の女しか出てこない「男のハーレクインロマンス」と喝破していたが、私も全く同感。
小説については、残念ながら面白いと思った作品はなかった。
恋愛について語ったエッセイ群も、実に古くさい恋愛観の繰り返しで、何も感じることはなかった。

また、長年、直木賞の選考委員を務めたが、小説としての価値を認めておられる範囲が極めて古くて狭く、他の選考委員と対立することも多かった。
作家としては、自分の信ずる世界のみを描いて、それが広く読まれるなら、完結しており、外からとやかく言う必要はないが、選考委員は、自分より新しい才能を評価し、発掘する立場であり、そうしたタスクを担うには決して適した人とは言えなかったと思う。

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私自身も、過去、ブログでこんなことを書いていたことを思い出した。

インタビューや対談を読んだり、聞いたりする限り、実に、面白くて、興味深い人たちだと思う。

こんな性格の人が、自分の少し離れた周りにいたら、ちょっと楽しいだろうな、とさえ思う。

作品も、ほとんど読んだことはないが、あれだけ売れているのだから、万人に受けるよさがあるのだろう。

ただ、この人たちがが、直木賞や芥川賞で、候補作を評する文言だけは、首を傾げざるを得ないことばかりだ。

彼らにとって、小説というのは、自分が興味のある極めて狭い範囲でしか、意味を持たないらしい。

しかも、自分が書いてきた小説が、いかに狭い範疇のものなのかを認識しておらず、その小説観がこの世の全てであるかのように、他人の小説を切って捨てる。

自分のコピーが欲しいだけなら、文学賞の審査員など、しなきゃいいのに。

直木賞や芥川賞の審査委員は、自分が引退する以外、外れる手段がないから始末に悪い。

どう考えても、彼らが、自分で、「自分の方が審査委員として不適な人間だ」とは思っていないようだしね。

・・・でも、本当に、他人の作品を評価する立場でないなら、人間としては、実に面白い人たちなんだけどねぇ。

ゴロウ・デラックス 渡辺淳一さんの回 | SSS~いろいろ日記~

実際、以前、TBSのゴロウ・デラックスに出演したとき、あまりに潔い、筋の通ったエロジジイぶりに、面白いオッサンだな、と思い、爆笑しながら見たことを、今、思い出した。

なので、今、渡辺淳一氏の奔放な言動が読める対談集を、改めて読んでみたいな、と思っているところだ。
ただ、読みたい対談集は、ことごとく品切れか絶版。
せめて、こういうときこそ、電子書籍ぐらい、さっさと出せばいいのに。

とりあえず、図書館に行ったら、「華麗なる年輪」という対談集があったので、それを借りて読み始めている。

小説は全く好みではなかったし、私が大好きな作家たちをことごとく酷評し、直木賞受賞に反対してきたことにも、恨みはあるが、一人の人間としてみれば、心底からは嫌いになれない豪快で個性的で面白い人だったなと、改めて思う(吉田豪的な意味でだが)。
謹んでご冥福をお祈りします。

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