ここにきて、テレビ局がネット配信に積極的になったのはいくつか理由がある。

・HTML5の動画配信の標準化により、どんなデバイスでも同じ方式での配信が可能になった
・HTML5で、DRM保護付きの動画配信方式の標準化が進み、コピーされたくないコンテンツの配信が安心してできるようになった
・クラウド化した動画配信サーバの技術進展により、動画の配信コストが下がったため、配信に対する敷居が下がった
・YouTubeなどの広告モデルによる無料配信がビジネスモデルとして成立することが実証され、広告モデルでの無料配信の敷居が下がった

まずは、外的要因として、YouTubeで、テレビ番組を勝手にアップロードし、他人のふんどしでカネを稼ぐ人間が増えているのは、放送局として腹立たしいのは理解できる。

確かに、テレビ番組を勝手にアップロードしておいて、その番組をさらにコピーしてアップロードした他人に対して、文句を言っている人がいたりして、「自分の著作物でもないのに、その感覚、おかしくないか?」と言いたくなる人もいる。

ただ、放送局が、見たいときに好きな番組を見たいというニーズに応えていないから、この現象も起きている訳で、放送局としても違法コンテンツを削除するだけの、後ろ向きで手間だけがかかる対策の馬鹿馬鹿しさに、そろそろ気づいたのかもしれない。
他人が勝手にYouTubeで広告収入で稼ぐぐらいなら、自分でネット配信して広告収入を得ればいいのだ。

著作権保護を掛けてネット配信するコストも、HTML5の標準化で随分下がり、それを見られる端末も広がったのが、その流れを後押ししたのだと思う。

また、最近は、放送局で番組制作する際、関係者の契約書で、必ずネット配信に関する条件を明記するようになり、放送した番組をネット配信する際、後から個別交渉を行う必要がなくなってきたのも大きな変化らしい(もちろん、某J事務所タレントが出演する番組など、依然としてネット配信厳禁の条件も多いらしいが)。