4K/8K無料放送は「録画禁止」に? NexTV-F発表の規定が大きな波紋 - Phile-webまた、当然ながら、テレビも、55インチ以上の大画面で4K以上の解像度がないとメリットが生きないし、4K/8K実用放送は、おそらく録画禁止になると言われており、そうした意味でも、4K/8K実用放送を見たいという国民がどれだけいるのかは、疑問だ。
それが、リニア中央新幹線のように一般企業のビジネスであれば、勝手にやればいいのだが、放送衛星には税金もつぎ込まれており、NHKの受信料も注ぎ込まれているのである。
国民のほんの一部しか恩恵を受けることがないようなサービスに、そうした公的資金をつぎ込んで、こっそり始めてしまおうということに、腹立ちさえ感じる。
なので、基本、これまでも私は、4K/8K実用放送の推進には、今でも反対の立場だ。
今回、参入する事業者のリストを見て、またその怒りが倍増する気分だ。
BSの右旋円偏波で放送するが、
・BS朝日(4K)
・BSジャパン(4K)
・BS-TBS 4K(4K)
・BS日本(4K)
・BS日テレ(4K)
・BSフジ(4K)
・NHK SHV 4K(4K)
の7事業者で、いずれも既にBSで放送を行っている事業者のチャンネルが確保された。NHKを除いて、おそらく無料放送と思われる。
これらのチャンネルはBS左旋なので、従来のパラボラアンテナでも、チューナーを4k対応の物に変えれば受信できる可能性が高く、視聴者確保という面では有利。
そこを従来の放送事業者が占めるというのは、無言の既得権と言うやつだろう。
BSデジタル民放5局の業績推移 - longlowの日記そもそも、BSの無料放送各社は、なかなかコンテンツをそろえられず、ようやく近年黒字化できた状況なのに、さらに、4Kチャンネルまで持って、どうやってコンテンツを確保し、ビジネスとして成り立たせていくのだろうか。
4Kのチャンネルは、2K放送の2倍の帯域を使って送信コストもかかるのに、画質が良くなったからと言って、広告収入が上がる訳でもない。むしろ、視聴者数が2K放送に比べても格段に減るから、当面広告収入はほとんど望めないというのが正しい。
これで、各BS放送事業者は大赤字に逆戻りするのは確実だが、それでも4K放送をしたい意図はなんなのだろうか?
4Kテレビ好調でも「民放チャンネル新設」が盛り上がらない訳 - ライブドアニュースこちらの記事なんかを読むと、民放は本心では4Kなんてやりたいくない、という気持ちがあるのかも。実際、コストが合う訳ないしね。
ただ、彼らには、電波利権というのは、手離してしまうと二度と戻ってこないという強迫観念があるので、横並びで4K放送にも参入せざるを得ない立場に追い込まれているのかもしれない。
ただ、そうだとすると、彼らが一番取りそうな運用は、4K放送開始までに、放送設備を4K対応に更新し、番組制作は基本4Kで行うようにして、同じ内容を、従来の2Kのチャンネルと4Kのチャンネルで流すというパターン。放送局としては、これがコストミニマムだからだ。
さらに最悪な運用は、本物の4K番組は、目玉でごく一部だけ流し、残りの大半の番組は2Kコンテンツを超解像処理して4K化して流すという手抜き運用か。初期のBSデジタルでも、ほとんどハイビジョン映像が流れないチャンネルもあったので、4Kでも、それがあっても不思議ではない。
でも、本当にそういう運用だったら、わざわざ新しいアンテナやチューナーを買ってまで、4K放送を見たいという人は少ないと思うな。
一方、BSの左旋円偏波で放送するのは、
・ショップチャンネル(4K)
・QVC(4K)
・映画エンタテインメントチャンネル(4K)
・WOWOW(4K)
・NHK SHV 8K(8K)
の5事業者で、ショップチャンネル、QVCは無料放送だろうが、現状の放送を見ていても、画質は本当にフルHDかと首をひねる画質のことも多いし、放送内容を4Kにしたら、売り上げが倍になるとも思えない。それで本当にビジネスとして成り立つのだろうか。
また、NHKは、左旋に8K放送の帯域を確保した。
詳しいことは知らないが、BSの一つのトランスポンダ(送信機)では、8K放送を送るには伝送容量が足らない筈であり、おそらくNHKは2つのトランスポンダを使って8K放送を行うものと思われる。
これは、受信側にも影響があって、この8K放送を受けたい場合のみ、2つのトランスボンダを同時に受信しチューナーに送れる特殊なパラボラアンテナと、8Kがデコードできる専用チューナーが必要になるはず。
いずれも4kのアンテナとチューナーに比べれば、コストもかかるし、売れる数も格段に少ないだろうから、高価になるのは間違いない。
そんな製品、誰が買うんだ?
そして、そんな僅かな視聴者のためだけに、NHKの視聴料から莫大な衛星使用料が使われる現実は、腹立たしいとしか言いようがない。
東経110度CSの右旋は既にスカパー!が使用しているため、左旋で4K放送を行い、
・スカチャン4K 1~8(4K)
・A-PAB試験放送(4K)
が放送される。
基本、スカパー!が、有料の4K放送を行うために使用することになるが、これは、スカパー!の自己責任で有料放送を流すのだから、失敗しても自社で取ればいい。
A-PAB試験放送は、従来から、NHK及び民放が共同で運営した試験放送だが、なぜこのチャンネルが今後も必要なのかは、調べてみたがよくわからない。これも、「一度手に入れた電波利権は手放したくない病」なのか?
そもそも、4K,8K放送というのは、技術的に見れば、アンテナが一番難しいぐらいで、それ以外は従来のデジタル放送の延長上でしかなく、技術的には大して難しくない。
なので、4Kの視聴に必要なアンテナやチューナーは、数が売れれば、価格は下がると思う。
さらに、現在、HDMI 2.0の入力端子がある4Kテレビを持っていて、BSデジタル放送が見られる環境にある人なら、おそらく、今後発売される4Kチューナーを追加しさえすれば、BS右旋の7チャンネルだけは見られるだろう。
4Kチューナー用のSoCも、バックエンドは低価格なものがすでに出ており、フロントエンドのLSIが一番高価になりそうだが、それでも初期のBSデジタルチューナー並みの価格(5~6万円ぐらい)では、発売されるだろう。
大半の人はそれで満足して、わざわざ新たにアンテナを立ててまで、他の放送を見たい人は多くないかもしれないな。
もちろん、WOWOWやスカパー!などの有料放送事業者は、有償サービスの契約と引き換えにアンテナやチューナーを安価に提供して、販売促進を計ることになると思うが、これも果たしてビジネスとして成立するのか? なかなか大変だろうな。
普及さえすれば、例えば4K放送チューナー内蔵のテレビは、将来、ほとんど価格アップは見えないような価格設定に落ち着くはず。
4K対応のSoCも、4K対応フロントエンドも、長期的に見れば、2K対応のSoCやフロントエンドまで値段が下がると見込めるからだ。
ただ、それが本当にそんな状況に行きつくのか?
デジタルハイビジョン放送も、本当に始まるまでは、「誰もこんな高画質なんか要らない」と言っていたが、今ではもはやアナログ放送時代のSDTVの画質なんて見られたものではないし、やっぱり「アナログでよかった」という声も聞かれなくなった。
しかし、2Kから4Kぐらいの改善では、劇的に変わったとは見てもらえないと思うんだよな。
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