2018年に4K/8K実用放送を始める事業者がほぼ決定 - ITmedia LifeStyle

総務省は、1月11日、諮問機関である電波監理審議会の答申を受け、2018年に始まるBS(放送衛星)の右旋/左旋、および、東経110度CS(通信衛星)の左旋を使用した4K/8K実用放送に参入を希望する11事業者を認定する方針を明らかにした。

ここで、BSとは、現在、NHKのBSプレミアムなどのチャンネルを放送している一番ポピュラーな放送衛星で、高出力で放送エリアも広め。
東経110度CSは、BSとほぼ同じ経度に打ち上げられた放送もできる通信衛星で、出力はBSに劣るが、BSより低コストで放送ができる。

右旋/左旋というのは偏波の方向で、放送する電波の波は、その波形が地上に届くまでにぐるぐると円を描くように廻るように送出し、それを円偏波と呼んでいる。その廻る方向が右回りなら右旋で、左回りなら左旋と呼ぶ。

この偏波というのはなかなか面白い技術で、同じ場所から同じ方向に、同じ周波数で、全く違う2つの電波を、右旋と左旋で同時に送っても、受ける側で偏波方式で分離して受信でき、円偏波がない伝送方式に比べ、同じ周波数帯域で2倍の放送をすることができるのだ。

従来の放送は、基本的に右旋の偏波で送られており、それを受信するパラボラアンテナも右旋円偏波の放送しか受信できなかったが、今回、従来の衛星放送をそのまま維持しながら、新たに4K/8K実用放送を始めるため、新たな放送帯域を確保する必要があり、左旋円偏波でも放送を送ることになったようだ。

従来の衛星放送用パラボラアンテナは、左旋円偏波には対応していないため、4K/8K実用放送を受信したい人は、新たに発売される右旋/左旋両対応のパラボラアンテナを購入する必要がある。
また、チューナーも、従来の衛星放送チューナーは、4K/8K実用放送の伝送フォーマットやコーデックなどに対応しないため、こちらも、今後発売される新しいチューナーを購入する必要がある。

チューナーはまだしも、アンテナまで設置し直さなければならないため、今回の4K/8K実用放送を見る敷居は、BSアナログ放送からBSデジタル放送に切り替えた時よりも、さらに高い。