日テレ系で1987年10月4日から1989年9月24日まで放送された番組で、大橋巨泉が、当時、「おかしい」と思っている無駄な組織や制度などを取り上げて、その内幕を報道し、糾弾するという番組で、巨泉の口調が、熱を帯びてくるとヒステリックにもなりがちで、今の言葉でいえば、少々「ウザく」、よく「巨泉自体がいらない」などとも揶揄された番組だった。
しかし、おそらく、無駄な公共事業が多数あることについて知ったのは、この番組が最初だったと思う。
当時は「年度末になると道路工事が多い」日常生活に、誰もが不満を言いながらも、放置していたのに、この番組は、それがどのぐらい定量的に無駄な工事で税金が使われているかを指摘したのは、この番組だった。
最初に、ダム建設の費用と効能、弊害について説いたのもこの番組だった気がする。
高速道路のサービスエリアや、空港のサービスも、今や、世界に誇るサービスとなっているが、当時は酷いもので、出される食事は高くてひどく不味くて、トイレも汚かったのを、この番組は、当時の諸外国に比べて具体的にどの程度酷いかを指摘し、そして、その原因として、独占に胡坐をかいて高い給料をもらう外郭団体の存在を明らかにした。
当時、大橋巨泉のしゃべり方が上から目線で高圧的であったこともあり、反発も多かったが、指摘していた内容は、正鵠を得ているものも多く、こうした問題点が明らかにされることで、のちの、できることは民間に任せる制度や組織改革に結びついた面は間違いなくあったと思う。
買ってはいけない - Wikipediaその点では、1999年に発売された「買ってはいけない」という本にも似た面はあって、この本自体は、あまりに誤った生半可な知識に基づいて、食品を中心とした商品を批判した本として批判も多かったし、私もひどいトンデモ本だと思った。
しかし、例えば、この本が、添加物が多いなどと集中砲火を浴びせた「ヤマザキパン」が、この後、商品づくりを大幅に転換したのは確かであり、日本の食品業界が安全性を高め、信頼性を高める方向に舵を切り、諸外国にも高い評価を得るようになったのには、この本の存在が影響した気がするのだ。
同様に、「巨泉のこんなモノいらない!?」で大橋巨泉の指摘した問題点には、テレビ番組ゆえの極論もあったとは思うが、今から振り返って、後に改善されて、むしろ、世界に誇る日本の売りになったものが少なくない気がする。
当時はまだ安全性も低く、排気ガスもひどかった日本の車や、日本専売公社の利権の中核であるタバコ産業などにも切り込んだため、番組の性格上、スポンサー企業や政権とも色々な軋轢、圧力があったようで、それとも巨泉さんは激しく戦ったという話を後に聞いた。
確かに、今、こんな番組をやろうとしても、放送局自身の腰が引けてしまい、絶対に無理だろう。
その意味で、私はこの番組が、歴史的視点でもう一度評価されてしかるべきだと思う。
日テレさん、この番組で巨泉さんが批判したことが、その後、どうなったを検証する番組を作りませんか?
結構面白い番組になると思いますよ。
当時、新しいいろんな視点を与えてくれた巨泉さんのご冥福をお祈りします。
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