特にラジオでは、ちょっと他の人には思いもつかない面白いポイントを見つけ出す視点と、そこへの疑いをみじんも感じさせないブルドーザーのような実行力は、天才的だと思っていた。
なので、その天才と思っていたことに、薬物が関与していたかもしれないと思うと、「ガッカリ」と言うしかない。
それに、人の親の一人として、「中学生の娘もいるというのに、何考えてんだ!」とも言いたい。
瀧の所属する電気グルーヴは、現在30周年記念ライブツアー中なのは、自業自得だから、中止で仕方ないが、現在、NHK大河ドラマ「いだてん」で、重要な役をやっているし、既に撮影を終えて、間もなく公開予定だった映画も2本あるという。
こうした作品は、放送中止になったり、公開中止になったりしたら、大変な迷惑をこうむる人が多数いるだろう。
また、今の世の中、瀧が出演した過去作でさえ、DVD販売や、ネット配信も、自主的に中止してしまう。
「凶悪」だけじゃない。「アウトレイジ 最終章」「シン・ゴジラ」「そして父になる」「のぼうの城」「ALWAYS 三丁目の夕日」「モテキ」などなど、日本映画の名作の数々に脇役として出演しているので、新井浩文以上の影響があるだろう。
「アナ雪」のオラフの声もやっているのだが、どうなるのか。
これらが、瀧のせいで見られなくなるというのは、どう考えても不合理だ。
これをきっかけに、改めて、「作品は監督のものであり、単なる出演者の罪とは切り離して、価値を考えるべき」と言いたい。
そうでないと、これからも見られなくなる名作映画が続出することになるぞ。
一方で、あの強い人間に見えたピエール瀧がなぜ?という思いは、今も渦巻いている。
たしかに、電気グルーヴの音楽性を握っていたのは、瀧ではなく石野卓球であり、瀧はヴォーカルもやるが、むしろ奇抜なパフォーマンス担当だった。
また、そのパフォーマンス部分も、電気グルーヴの売りの一つだったが、そうしたパフォーマンスも、ラジオも、役者も、音楽そのものでは石野卓球の才能に勝てない瀧が、あがく姿でもあったのかもしれない。
そして、海外でも人気があり、海外ツアーやフェス参加も多かった電気グルーヴだけに、海外での薬物への誘惑は多かったのかもしれず、それがきっかけで止められなくなったのかもしれない。
正直、瀧が赤江珠緒の前に座り、ラジオで話すことが、二度と許されるとは思えない。
もし、あっても、以前のような赤江珠緒との和気あいあいとした楽しい関係は、もはやありえないだろう。
ラジオが好きな私にとっては、そのことが一番残念でならないし、それを壊してしまった瀧には、改めて「ガッカリ」という外ない。
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