・ワイドFMを始めた時には、ビルの谷間などのAM難聴対策だと言っておきながら、数年で前言を撤回するのは不誠実だ伊集院光も、こう言って、ラジオ番組「伊集院光とラジオと」でかなり怒っていたな。
今回の、民放連として正式要望を出したのは初めてかもしれないが、私の知る限り、ワイドFM開始時にも、各局の意見の中に「将来的にはAMの廃止を視野に入れたい」旨の意見は、散見されていたので、決して初めて出てきた意見ではない。
しかし、その将来の意図については、確かにリスナーの批判を恐れて、表立ってはリスナーに向けて言ってこなかったのも事実。
だから、今回のAM廃止の発表が、唐突に思えた人も多かったのは確かだろう。
伊集院光が語る、AMラジオがFM波放送を開始してもAM波放送をやめられないワケ | 世界は数字で出来ているだが、ちょっと待って。伊集院さんは、過去にラジオで、ラジオ局はAMを辞めたがっていることを知っていて、ただ、国策で許されていないことを語っているじゃん。こういう2枚舌は感心しないな。
・FMではカバーできないエリアは切り捨てるのか?FMが受信困難なエリアというのは、実は、周波数が近いアナログの地上波テレビ放送も受信困難だったケースが多く、そうしたエリアでは、通常、市町村がケーブルテレビ(共聴システム)を運営し、そこで放送を再配信しているケースが多い。ラジオ放送もそこで併せて再配信されていることが多いのだ。
なので、AMは受かったのにFMは受からず、実際に困る人たちというのは、実は、微妙なエリアに限られる。
そもそも、「ネット」でこうした意見を書込めている人は、radikoで聞けばいいじゃん、と言いたくなる。
本当に困る人が言う意見なら尊重すべきだが、想像で書く意見に大した価値はない。
上のような現実を知らない、あさーい意見だと思う。
具体的な対策については、一つは、地上波アナログテレビの廃止になった中継局の、ワイドFMへの再利用が現状にも進んでおり、ある程度それでカバーはできると思われる。
それでも不可能なエリアに対しては、地域ケーブルテレビあればそこへの配信や、狭い難聴エリアであれば、radikoで受信した放送を、コミュニティFMレベルの電波強度で狭いエリアに再送信する(今は法律的に無理だが)など、いろいろ手はあるのではないだろうか。
・ゲルマニウムラジオ(無電源で動く、災害時の頼みの綱)が使えなくなるのはまずいと思うAM放送は、無電源で動作するゲルマニウムラジオでも聴けるという特徴があるが、そもそもこの意見を書いた人は、近年、ゲルマニウムラジオの現物をどこかで見たことがあるのだろうか?(私は小学生のころ電子工作キットで見たっきりだ)
電話線の給電動作する電話機がなくなりつつあることに対して、以前、災害時に困るのではないかと課題提起されていたが、実際は、皆、電源は必要だが便利な携帯電話を使っており、今はだれも文句を言わない。
ラジオも、現にゲルマニウムラジオの入手が不可能に近く、しかも、誰も災害に備えてゲルマニウムラジオを買っておこうと思っている人が皆無である現状で、それを問題視して何の意味があるのだろうか?
現実に、災害用に売られているラジオとは、手回しの発電機でAM/FMが聴けるラジオであり、ゲルマニウムラジオなんかより、感度も音質もはるかに実用的。ゲルマニウムラジオなんて、一般の人は誰も知らないという現実を知るべきだ。
さらに言うなら、地方自治体が、災害時に重視してるのは、既にAMではなく、FM波で送る緊急警報放送であり、そのために地元コミュニティFMが全域で聴けるよう補助を出して整備を進め、緊急警報放送が聴けるラジオを無料または格安で配布している自治体も多い。地震などの大災害が発生したら、地方自治体が真っ先に地元密着の災害情報を広める手段として考えているのは、コミュニティFMや、共聴システムであり、AM放送ではない。
まとめると、AMラジオ放送廃止に対して、反対意見を述べるのは自由だし、それを阻害するつもりはないのだが、意見は「想像」ではなく「現実」に基づいて言うべきだと思う。
NHKは、AM放送は止めない(実際、NHKは止めるとは一言も言っていない)という前提があってのことではあるが、民放AMラジオ局が、地方はどこも経営的な存続の危機にある今、現実的な選択肢としてのAM廃止はやむを得ないと思うけどな、私は。
関連記事:
民放AMラジオ放送は2028年秋までに終了:コンテンツって言い方、嫌いだけど:So-netブログAMラジオがいよいよ廃止か:コンテンツって言い方、嫌いだけど:So-netブログ