最近、何だか有名人の訃報が相次いでいるが、私個人としては、白川道と船戸与一というお二人の作家の訃報が、特にショックだった。

訃報:「天国への階段」…作家の白川道さん69歳 - 毎日新聞

白川道は、死因は大動脈瘤破裂だったらしいが、69歳だったのか。まだ若いし、元気だったのにな。

元々は、投資顧問会社を経営し、投資ジャーナルなどとのかかわりで、インサイダー取引やマネーロンダリング等で逮捕され、懲役3年の実刑判決を受けた人物。
服役中に、小説の書き方を勉強し、1994年、49歳のときに「流星たちの宴」で作家デビューし、ハードボイルドの新旗手として注目され、2001年には、傑作「天国への階段」を生み出した。
その後も、「単騎、千里を走る。」「最も遠い銀河 」「神様が降りてくる」などの秀作を生み出す一方、毎日新聞の「人生相談」回答者を務め、人生経験が感じられる深い回答で評判を博していた。

個人的にも、「天国への階段」が一番印象深い。この小説では、牧場を騙し取られた父親が自殺し、最愛の女性にも裏切られた主人公が実業家となって、26年をかけて騙した資産家に復讐を仕掛ける。
主人公の内面は敢えて描かないが、言動の端々の描写を通じてその怒りと悲しみが伝わってくる、白川にとって、かつて人を騙す人間であった自分についての贖罪のような小説であった。
大長編だが一気に読めるので、もし、まず一冊、白川道の作品を読んでみたいというなら、間違いなくこの作品をお勧めする。

評判の「人生相談」も、早く本にならないかな。