今回公式サイトを見たら、情報が追加されていて、1959年生まれで、62歳のベテランアニメーターとのこと。
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで、数多くのキャラクターデザインを手掛けてきており、「塔の上のラプンツェル」、「ベイマックス」、「アナと雪の女王」、「アナと雪の女王2」でメインキャラクターのキャラクターデザインを担当してきたというから、こりゃ凄い。
その人が、電脳世界「U」の中の歌姫ベルのキャラクターデザインを担当している。
そもそも、「U」の歌姫ベルは、明白に、「美女と野獣」の主人公ベルを意識したものであり、それを前提にお話も進むようなので、おそらく本家ディズニーの承諾も得ているんだろうな、と思う。
その他、スタッフで気になるのは、CGディレクターの下澤洋平や、音楽担当の音楽Ludvig Forssell(スウェーデン出身)など、主にゲーム畑で活躍してきたアーティストが、制作のメインに据えられていること。
作品世界が、インターネット上の電脳空間ということで、描く上でそうした才能の方が望ましかったのかもしれない。
今後、こうしたスタッフが直接かかわる形で、「竜とそばかすの姫」のCGモデリングをそのまま利用し、その世界をテーマにしたゲームなんかもリリースされる可能性があるかもね。
そんな中、一つだけ、若干首をかしげるニュースが。
細田守監督「日本アニメは女性の描写が酷い。あの巨匠が少女をヒロインにしまくるのは自分に男としての自信がないから」 : ユルクヤル、外国人から見た世界カンヌ国際映画祭に出席した細田守監督が、現地フランスで、仏ニュース専門局「France24」のインタビューに答え、日本のアニメの少女の描き方について、苦言を呈したというニュースだ。
一般論として、日本のアニメについて、
「日本社会で若い女性がいかに見くびられまともに受け止めてもらえないか、日本のアニメを見るだけで分かります。日本アニメでは若い女性がよく神聖視されますが、現実の彼女たちとは全く関係がなく、腹立たしい限り」と語ったそうだが、この部分はまあ分かる。
ところが、名前を伏せながらも、宮崎駿監督の女性観を、
「名前は出しませんが、若い女性を常にヒロインにするアニメ界の巨匠がいます。率直に言うと、彼がそれをするのは、男として自分に自信がないからなのだと私は思っています。若い女性への崇拝は私をいらつかさせ、それに関わりたいとも思いません」と批判したという部分になると、あれ?と首をかしげざるを得ない。
まずは、名前を伏せながらも、宮崎駿監督だと断言できたのは何故だろう?
前半の一般論について、私も賛同する立場だが、後半の
「若い女性を常にヒロインにするアニメ界の巨匠」というのに、宮崎駿監督が該当するとは思わないのだ。
むしろ、初期の作品を除けば、前半の
「一般的な日本のアニメにおける女性の描写」とは、異なる立場にいると思うからだ。
Hosoda: 'Japanese anime has problem with women and girls' - France 24不思議に思い原文に当たってみた。ただし、原文はフランス語なので読めないため、文法が近く翻訳精度が高いと思われる英語版の記事を読んでみた。
すると、分かったことは、細田守監督は、一般論として語ったことに対し、インタビューした記者が、知っている状況や過去の事実を元に、かなり想像で物事を断言しているということだ。
原文の細田監督の発言では、「アニメ界の巨匠」は「a great master of animation」とあり、これだけでは、本当に、宮崎駿個人を直接あてこすった発言なのかは判断できないように思える。
そもそもの話、現場での細田監督の日本語の発言からフランス語への通訳が、細田監督の意図を正確に伝えられたかも、疑問が残る。
それを、インタビュアーが勝手に、細田監督が過去に「ハウルの動く城」の監督をクビになった過去などの状況証拠を挙げ、きっと宮崎駿に恨みを持っているはずだから、宮崎駿を批判したいに違いないと断言しているに過ぎないように見えるのだ。
細田監督は、劇場公開時点では、まだカンヌにいた模様で、おそらくこの記事自体も読んではおらず、日本で物議をかもしていることも知らないのではないかと思う。
だから、もし、この記事が、ご本人の語った意図と違うものであれば、おそらく、改めて、本人から意見表明があるはずだと思うので、この批判に関し議論を始める前に、まずはそれを待つべきではないかと思う。
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