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「Gozilla Minus One」の米国戦略 [映画]

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ゴジラ新作興収が米で1位 歴代邦画の実写作品で 「子猫物語」抜く - 産経ニュース

「ゴジラ-1.0」(英語タイトル「Gozilla Minus One」)が、12月7日に、全米興行収入ランキング1位になったそうだ。

平日とはいえ、米国で公開された邦画実写作品が1位になったのは、史上初めて。

累計興行収入は、1436万ドル(約21億円)を突破し、これまでの歴代1位だった「子猫物語」を上回り、歴代1位となった。

ゴジラまとめ情報 ゴジラボ : 「ゴジラ-1.0」北米での上映期間が12月14日まで延長へ!

元々1週間の限定公開だったのも、12月14日まで延長され、公開規模も2300から2500館以上に拡大されたみたい。
依然としてレビュー評価も高いため、今週末の興行収入次第では、さらなる上映規模の拡大も期待できそうだ。

この状況は、もちろん作品の良さが一番の理由だろうが、それだけではないみたい。

東宝が国際事業の新会社設立、TOHOインターナショナルも傘下に

東宝は、グループの海外拠点の統括、映像コンテンツのIPの海外展開を担う会社として、新会社TOHO Global株式会社を7月20日付で設立した。

東宝は、自社の映像コンテンツを、本格的に海外展開したいと考えており、おそらくその戦略的IPが「ゴジラ」なのは間違いなさそう。

「ゴジラ-1.0」を見た上で思うのは、この作品の映画製作の初期段階から、米国で売ることを重視し、作り込みをしていたと思われることだ。



家族で見られる映画作り

「Gozilla Minus One」は、残虐にも見えるシーンがたくさんある。
例えば、ゴジラが人を咥えて放り投げたりするが、放り投げた人が何かにぶつかる音だけで映像はない。
逃げる人たちを踏みつけるが、CGで描けるはずの人の様子はわざとぼかし、踏まれた人も描かず、地響きの大音量の中に、何かが多数潰れる音を小さく混ぜるのみ。
これは、米国のレーティング基準を明確に意識し、年齢制限なしで上映できるギリギリの表現を攻めた結果だと思う。



英語字幕でも分かりやすいストーリー

「Gozilla Minus One」の批判の一つとして、やたら説明セリフが多いというのがある。
確かに、私も見ていて、その部分の演出は下手だなと思った。
しかし、米国での批評を見ていると、その部分を批判するレビューが皆無に等しいのに驚いた。
そもそも、米国では字幕映画はご法度で、敬遠されがちだという。
それが、これだけ見られているというのを考えると、英語字幕は、おそらく、ストーリーを追うのに最低限必要な、短いセンテンスやキーワードで相当簡略化してあるのではないかと思う。
よく考えれば、このお話、おそらく子供でも、字幕を読まなくても、ほとんど分かると思う。
だから、補足説明としての字幕をどう出すかを意識した上で、シーンや日本語のセリフも構築している点があるのではないかと思うのだ。



アメリカ人にも共感を得やすい設定

終戦直後の日本人の大変さとか、戦争で生き残って帰ってきた人たちの心情や、PTSDの苦しみといったものが、アメリカ人が分かるのかな?と思ったが、実際に、向こうの感想を見ていると、米国にも、戦争体験があってPTSDに悩まされている人は多く、意外にも共感が考えられやすいのだそうだ。
実際、日本に比べて米国の方が、人間ドラマ部分に対する評価が高いのは、意外だったが、米国の、いわゆるゴジラ映画を見に来た層には、意外に新鮮で、ちょうどい分かりやすさのドラマだったのかもしれない。



ハリウッド大作をオマージュしたような名シーン

冒頭の島のシーンは「ジュラシックパーク」、海のシーンは「ジョーズ」、そして、上陸後は「初代ゴジラ」、そして最終決戦は「ダンケルク」を思い起こさせる。
それらをオマージュしつつ、この映画、ゴジラならではの新たな名シーンが多く、その点でも、往年の映画ファンは、親しみを覚えるのではないだろうか。



ゴジラ映画マニアも満足させる作り込み

ゴジラの造形も、胸周りがマッチョで、むしろ着ぐるみっぽい。細部も格好よく、おそらくアメリカ人も満足いく出来だと思う。
また、ゴジラとの闘いに登場する戦艦や戦闘機なども、その筋のマニアは喜びそうな設定で登場するのも、喜ぶ人も多いだろう。



低予算を意識させないハリウッドレベルのVFX

ハリウッド大作と比べ、予算が一桁違うのに、それを意識させないレベルのVFXを実現したのは、とても大きい。
それに加えて、私が感心したのは、Dolby Atmosでの音響の良さ。
超低音を上手に生かした迫力ある効果音が、精彩さでやや劣るCGをうまく補強していたと思う。



こうして挙げてゆくと、「Gozilla Minus One」は、日本よりむしろ、米国で売ることを最初から意識した映画作りをしてる気がするのだ。

それが、思い通り成功しているというのは、東宝も大きな手ごたえを感じているのではないだろうか。

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