AIが作るコンテンツと著作権・日本では? [著作権]
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欧米における「AI生成コンテンツと著作権」の議論が興味深い:コンテンツって言い方、嫌いだけど:So-netブログ
前回、AI生成コンテンツと著作権に関する、欧米における議論について、取り上げてみた。
では、日本ではどのような議論になっているのだろうか?
議論が深まりつつある「AIと著作権」 ほか【中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」2023/6/1~6/7】 - INTERNET Watch
まず、日本の著作権法の体系では、「AIの開発および学習段階において、著作物に表現された思想または感情の享受を目的としない利用行為は『原則として著作権の許諾なく利用することが可能』」であることが明記されており、AIが学習するコンテンツをは規制することは困難。
少なくとも、一般にWeb上に転がっているコンテンツのAIでの利用を規制することは考えていない。
この辺の考え方は、米国に近い。
米国と違うのが、AIが生成したコンテンツの著作権についての考え方。
米国では、条件を与えただけでの自動生成コンテンツは、著作権登録できないが、それをフォトショップなどで加工するなど、人が加工を加えれば、著作物として認められる。
日本での議論の資料を見ると、「AIに創作的意図を指定したり、創作的寄与を行った場合は、著作権が認められる」としており、AI生成の条件設定に創作的意図があればいいというから、米国よりは著作権登録できる範囲が広いと思われる。
さらに、興味深いのが、AI生成コンテンツの著作権侵害についての考え方。
欧州では、AIが学習したコンテンツを開示することで、AI生成コンテンツの利用に対して、学習したコンテンツの著作権者に利用料を配分する道を作るべきだと考える。
日本では、そのような考え方はしていないが、結果として、生成したAI生成コンテンツが、既存のコンテンツと類似していれば、著作権侵害と判断する。
これは、一見あいまいで、面倒くさい規定だと思う人がいるかもしれない。
しかし、例えば、ある人が制作した「コマーシャルポスター」とか「ロゴ」などが、過去に別の人が制作した作品に類似していると問題になり、裁判で類似性を検証し、実際著作権侵害が認められる事例は、現実によくあることだし、それをこれまで幾多の判例として積み重ねてきている。
つまり、AI生成コンテンツの著作権侵害の判断も、従来の積み重ねた判例に従うということになり、極めて公平で妥当な基準であると言えると思う。
AI生成コンテンツを利用する人間が、この問題を避けるためには、既存のコンテンツに類似しないよう条件設定してコンテンツ生成する必要があり、生成したコンテンツを公に利用する際に、自分で既存コンテンツと類似していないか事前検証しておく必要がある、ということになると思う。
これは、安易なAI生成コンテンツ利用の乱用を抑止する上で、極めて合理的な著作権のルールだと思う。
ところで、日本で、AI生成コンテンツの知的所有権について考える上で、興味深い事案が発生した。
『週刊プレイボーイ』AIグラビアに参入 “実在しない美女”さつきあいとは? - KAI-YOU.net
集英社が、同社が刊行する「週刊プレイボーイ」で、AIが生成したグラビア写真を掲載したのだ。
実在しない美女を「さつきあい」と名付け、直後に、デジタルグラビア写真集も発売し、初のAIグラビアということが話題を呼んだが、まもなく、写真集は販売を終了することになった。
著作権で飯を食っている大手出版社・集英社のことだから、日本の著作権法の議論を踏まえて、お抱えの弁護士でしっかり議論した上で、この写真集の出版にGOを出したはずだが、なぜ、販売終了に追い込まれたのか?
ここまで書くだけでも文章が長くなってしまったので、この事件についての考察は、後日書きたいと思う。
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少なくとも、一般にWeb上に転がっているコンテンツのAIでの利用を規制することは考えていない。
この辺の考え方は、米国に近い。
米国と違うのが、AIが生成したコンテンツの著作権についての考え方。
米国では、条件を与えただけでの自動生成コンテンツは、著作権登録できないが、それをフォトショップなどで加工するなど、人が加工を加えれば、著作物として認められる。
日本での議論の資料を見ると、「AIに創作的意図を指定したり、創作的寄与を行った場合は、著作権が認められる」としており、AI生成の条件設定に創作的意図があればいいというから、米国よりは著作権登録できる範囲が広いと思われる。
さらに、興味深いのが、AI生成コンテンツの著作権侵害についての考え方。
欧州では、AIが学習したコンテンツを開示することで、AI生成コンテンツの利用に対して、学習したコンテンツの著作権者に利用料を配分する道を作るべきだと考える。
日本では、そのような考え方はしていないが、結果として、生成したAI生成コンテンツが、既存のコンテンツと類似していれば、著作権侵害と判断する。
これは、一見あいまいで、面倒くさい規定だと思う人がいるかもしれない。
しかし、例えば、ある人が制作した「コマーシャルポスター」とか「ロゴ」などが、過去に別の人が制作した作品に類似していると問題になり、裁判で類似性を検証し、実際著作権侵害が認められる事例は、現実によくあることだし、それをこれまで幾多の判例として積み重ねてきている。
つまり、AI生成コンテンツの著作権侵害の判断も、従来の積み重ねた判例に従うということになり、極めて公平で妥当な基準であると言えると思う。
AI生成コンテンツを利用する人間が、この問題を避けるためには、既存のコンテンツに類似しないよう条件設定してコンテンツ生成する必要があり、生成したコンテンツを公に利用する際に、自分で既存コンテンツと類似していないか事前検証しておく必要がある、ということになると思う。
これは、安易なAI生成コンテンツ利用の乱用を抑止する上で、極めて合理的な著作権のルールだと思う。
ところで、日本で、AI生成コンテンツの知的所有権について考える上で、興味深い事案が発生した。
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集英社が、同社が刊行する「週刊プレイボーイ」で、AIが生成したグラビア写真を掲載したのだ。
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著作権で飯を食っている大手出版社・集英社のことだから、日本の著作権法の議論を踏まえて、お抱えの弁護士でしっかり議論した上で、この写真集の出版にGOを出したはずだが、なぜ、販売終了に追い込まれたのか?
ここまで書くだけでも文章が長くなってしまったので、この事件についての考察は、後日書きたいと思う。
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