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海外の海賊版は駆除できるのか? [著作権]

「絶版マンガ図書館」に続いて、それとは、被らないが非常に似たコンセプトで、お互いに補完関係にある別の動きが、発表された。

漫画・アニメ海賊版「大規模削除」始動 正規版サイト「Manga-Anime Here」オープン - ITmedia ニュース

8月1日から、国を挙げて、国内のアニメ制作会社や出版社など15社と連携し、違法にコピーされたアニメやマンガを無料公開する海賊版サイトの大規模な駆除を行うプロジェクト「MAG PROJECT」をスタートさせる。

これまで、海賊版コンテンツについては、個別の出版社レベルで、削除要請を行っていたらしいのだが、今回は、国が削除要請の顔になる形で、よりプレッシャーを与えるのが狙いのようだ。

具体的には、まずは漫画約500作品、アニメ約80作品について、国が把握している海外の約580の海賊版サイト運営者に対し、一斉に削除依頼を行う。

ただ、削除させるだけではなく、月額数百円程度支払えば、新作を含むおよそ250作品が見られる正規版サイト「Manga-Anime Here」に誘導することで、海外のファンを増やす方針という。

摘発する作品がある程度絞られているのは、正規版サイト「Manga-Anime Here」で既に用意できているコンテンツだからということなのかもしれない。
だとすると、正式版コンテンツが用意できれば、随時摘発範囲を増やしてゆく手筈なのだろう。

正直、中国や韓国に対しこうした施策を行っても、どうせ国家として真面目に摘発に対応してくれるとは思えないし、タダ以外のものは「高い」としか言わない国民性を考えても、消してもまた復活という、いたちごっこになるだろうな。

ただ、少なくとも、自分たちもコンテンツを作り出し、比較的権利意識の高い欧米の人たちが、海賊版ではなく、公式コンテンツにお金を払ってくれるようになれば、それだけでも、まずは相当なメリットはあるはず。

面白いのは、「Manga-Anime Here」は、「絶版マンガ図書館」と扱うコンテンツが全くバッティングしないのに、海賊版をなくすためのアプローチ自体は非常に似ていること。

このアプローチが成功すると、コンテンツ輸出国として、日本が米国を上回る存在になれる可能性があり、ぜひとも、成功させて欲しいな。

関連記事:
Jコミ改め「絶版マンガ図書館」がオープン:コンテンツって言い方、嫌いだけど:So-netブログ

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TPPで、著作権保護期間が70年に統一の方向 [著作権]

著作権保護期間、70年に統一で調整 TPP「知財」合意へ前進 (1/2) - ITmedia eBook USER

TPPの交渉の中で、米国が求めてた著作権保護期間が、50年から70年に伸ばす方向で決まりそうだという。
同時に米国が求めていた新薬特許の有効期限延長を、新興国に関し諦めることで、著作権保護期間の延長は通りそうな情勢なのだそうだ。

以前にも、TPPの議論内容について取り上げたことがあったが、その中で、著作権保護期間の延長については、日本は戦略的に賛成すべきだと主張してきた。

3月経常収支は2カ月連続黒字-貿易赤字続くも所得収支が下支え (1) - Bloomberg

円安で燃料費の輸入が増大する一方、円安になっても工場の海外移転などが進んだせいで輸出が思ったより増えず、日本の貿易収支の赤字が続いていることが、最近よくニュースで話題になる。

その一方で、経常収支はまだまだ黒字である。これは、物の貿易以外の、投資に対するリターンや、特許や著作権といった知財のライセンス収入が大幅に増えているから。

地域別国際収支の推移(国際収支マニュアル第5版準拠:平成25年まで) : 財務省

今回話題になっている著作権収入は、統計の中ではサービス収支の 特許等使用料収支に含まれるが、上の統計を見ると、既に、米国も含め、全世界エリアで黒字化していることがわかる。
もちろん、これは特許料収入も含まれる数値なので、さらに細かな分析は必要であるが、現状のクールジャパンで盛り上がるマンガやアニメ、キャラクター、音楽などのコンテンツおよびその周辺ビジネスは、今後、しっかり育てていけば、全世界的に見ても広がるのは間違いないだろう。

米国の例を見ればよくわかるが、一度定着したキャラクターや音楽は、うまく育てれば50年を過ぎても色あせない。
親から子の世代に受け継がれて、愛し続けられるのだ。

そして、今冷静に見まわして、50年後、愛され続けているキャラクターは何かを想像すれば、日本のコンテンツビジネスが、米国のそれを上回る状況になっていることは、容易に想像できる。

ミッキーが今でも愛され続けているように、50年後にも、ポケモン、キティ、トトロなどのキャラクターが、愛され続けるのはほぼ間違いないだろう。

すなわち、著作権保護期間を70年に延長することは、長期的に見れば、日本のビジネスには有利である可能性が高いのだ。

日本が、物を作って売る時代は既に終わった。
その代わりになりうる有力なビジネスの一つが、コンテンツおよびコンテンツ周辺ビジネスであることは確かだろう。

日本政府と通産官僚には、著作権保護期間70年を見据え、コンテンツのクリエイターにお金が回り、拡大生産されるまともな施策をお願いしたい。
今みたいに、コンテンツを作る人にはほとんどお金が回らず、それを輸出するビジネスや、仲介するビジネスをする人ばかりが儲かる支援策では、コンテンツビジネスの先はないと思う。

関連記事:
TPPのウィキリークス流出文書から分かること:コンテンツって言い方、嫌いだけど:So-netブログ

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TPPのウィキリークス流出文書から分かること [著作権]

TPPウィキリークス流出文書~激戦区「知的財産」、主要11条項での交渉勢力図 -INTERNET Watch

ウィキリークスから、TPPの「知的財産」関連の文書が流出し、話題になっていたが、著作権関連に詳しい福井健策弁護士が分析を行っていて、いくつか面白い点があった。

(1)音、匂いにも商標登録資格を与える
音楽よりも短いCMのサウンドロゴやWindowsの起動音のようなものにも、商標登録を認めようという動きがあり、これは、合意されそうな雰囲気だ。
ここで注意すべきは、著作権ではなく、商標登録であるということだ。サウンドロゴの使用目的も含めた商標としての使い方に規制を掛けるものなので、音楽として著作権を認めさせようという動きではないことは間違ってはならない。
ただ、現状、音楽の著作権が認められるのは、「4小節、15秒以上」というのが判例で示され、ある程度基準になっているが、TPPの動き次第では、音楽の著作権が認められる範囲も厳しい方に見直される可能性がないとは言えないかも。

匂いについての商標登録というのは、議論されていること自体初めて知った。これについては、匂いを定量的に分類し、商標侵害をどうやって判断するつもりなのだろうか? 個人的には、技術的にそもそも無理があるように思えてならない(賛成が5か国なのでこちらの合意は微妙)。

(2)電子的な一時的記録も複製権の対象に
デジタルコンテンツの配信、利用において、キャッシュに代表される、時間が経てば消えてしまうような一時的なデータコピーを利用するが、こうした一時的なコピーも「複製」であると明文化する動きがある。これについては、制限付きで合意する可能性が高いようだ。
ただ、ここで言っているのは、「複製」とみなすかどうかの議論であって、その一時的なコピーとしての複製が、違法かどうかとはまた別の議論だ。

(3)真正品の並行輸入に広範な禁止権
これについては、実質的に米国しか賛成しておらず、成立しないだろう。個人的にも、もちろん反対。

(4)著作権保護期間の大幅延長
日本も含む6か国が反対し、範囲がやや優勢だが、思ったより賛成も多いな。以前にも書いたが、個人的には、日本のコンテンツビジネスの将来を考えると、延長に賛成し、積極的に合意形成を目指すべきだと考えているが、あんまりこの意見に賛同してくれる人がいないのが残念。

(5)アクセスガードなど、DRMの単純回避規制
CD等のコピーガード、ゲーム等のアクセスガードなどのDRMを回避しての私的複製は、現行の日本法でも規制されているが、複製しなくても、単にDRMを回避して有料放送を視聴したりゲームをプレイするだけででも違法として規制するよう拡大される。これは、賛成派が優勢らしい。
ただ、実質的には、ほとんど不正競争防止法でカバーされており、日本としてはあまり影響はなさそうだが、なぜ反対しているのかは不明。

(6)診断、治療方法の特許対象化
これは、米国だけ主張し、まず合意は無理だろう。個人的にも大反対。

(7)植物・動物の特許対象化
こちらも、米国が提案し、日本以外は反対。日本が反対しないのは、福井弁護士の意見は違うと思っていて、米国に次いで、遺伝子組み換え技術が進んでおり、賛成したほうがメリットが大きいと判断しているのだと思う。なので、個人的には、賛成でもいいと思うが、今のままでは合意は難しそう。

(8)ジェネリック医薬品規制
米国が提案し、反対が優勢。日本は態度不明だが、これは反対すべきだろうな。私も反対。

(9)法定損害賠償金・懲罰的賠償金の導入
「法定損害賠償」とは、実損害の有無の証明がなくても、裁判所が賠償金額を決められる制度だそうで、米国提案。商標権侵害には4カ国が反対しているが、著作権侵害・著作隣接権侵害については、意外にも反対国がないそうだ。

(10)著作権・商標権侵害の非親告罪化
著作権・商標権侵害に関し、被害者の告訴がなくても、摘発できるようになる。意外にも、10カ国が提案し、日本とベトナムのみが反対ということで、合意の可能性が高い。もっと反対が多いと思っていたので、びっくりだ。個人的にも、あまり賛成ではないので、心配だな。

(11)米国型プロバイダーの義務・責任の導入
違法なコンテンツがネットにアップされた場合のルールを、米国型のルールで統一しようという提案。日本には、こうしたルールがなく、問題ないフェアユース的利用でも萎縮しがちなので、賛成してもいいかもしれない。
ただ、内容が複雑だけに、議論がどちらに進むのかさっぱりわからない。ということは、なかなか合意までは進展しないだろう。

TPPの議論状況は非公開なので、こうした情報が分かるのは非常に貴重だな。

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著作権保護期間延長は本当に日本に不利なのか?:コンテンツって言い方、嫌いだけど:So-netブログ

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著作権保護期間延長は本当に日本に不利なのか? [著作権]

著作権「死後50年」は本当に短すぎるか? 10分でわかる正念場の保護期間問題 -INTERNET Watch

日本でも、著作権の有効期限を「死後70年」にすべし、という圧力が、米国からあって、以前から議論を呼んでいる。

正直、著作権者が生きている間に加えて、著作権者が死んでも、扶養する子供が成人するまでは、著作権が生きていても許せる気はする。でも、奥さんも亡くなり、子供がみな成人した後も、著作権が生き続けるというのは、世の中の公平性を阻害する気がする。
さらに、ディズニーが主張するように、著作権者が死後も、著作権を管理する会社を維持するために、有効期限を延長さえようという考え方に至っては、全く賛同できない。

なので、心情的には延長には反対なのだが、上の記事に、「コンテンツビジネスに関しては、輸入超過なので、日本には不利」と書かれているのを読んで、ふと「本当にそうかな?」と思い始めた。

確かに、米国のコンテンツビジネスの過去の蓄積は大きい。
しかし、日本のコンテンツを、海外に真剣に売る動きは、ごく最近のことであり、伸び率としては米国を上回る。
しかも、コンテンツの横展開は、実は、米国よりうまい。元が、アニメだったら、映画に、ぬいぐるみやフィギア、テレビゲームやカードゲーム、様々なキャラクターグッズに、ミュージアムやテーマパークまで、幅広い分野で儲けられる。

しかも、米国の例を見れば、本当にいいコンテンツは、親から子に伝えられ、長く楽しまれるのだから、今後、半世紀を見れば、日本がうまく立ち回れば、継続的なコンテンツ輸出国になれるはずだ。

そう考えると、著作権の有効期限が70年に伸ばし、他国にも、TPPを利用して積極的に延長を呼び掛けた方が、今から50年後、ロングレンジで見れば、日本のコンテンツビジネスには、むしろ有利に動くのではないかと思えるのだ。

もちろん、これって、今、すぐにもうかる話ではない。
福井弁護士の言うように、延長による死蔵コンテンツの増加などの弊害もあるだろう。
だったら、50年でいったん切れるが、申請すれば延長できるようにしてもいいんじゃないだろうか。

今すぐではないにしろ、未来の日本の貴重な不労財源であり税収となりうるのだから、大局的に政治で判断して、戦略的に延長することもあっていい気がしてきたな。

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